熊本県に大雨の特別警報が出てから、8月20日で10日目を迎えます。県内では、甲佐町の土砂崩れの被害が深刻です。

8月20日、地質学が専門の熊本大学の鳥井真之特任准教授たちの研究チームが、土砂崩れが起きた原因を探るため甲佐町に入りました。

記者「熊本大学の研究チームが調査を行っているのが、甲佐町の土砂崩れの現場です。発生のメカニズムを調査しています」

この場所では一家4人が土砂崩れに巻き込まれ、そのうち50代の男性が死亡し、家屋が倒壊する被害も出ました。

鳥井特任准教授は、この場所にある水の通りが良くない地層が雨水の流れを遮ったことで、斜面が崩壊した恐れがあると分析します。

熊本大学 鳥井真之 特任准教授「ここでは粘土化しているためにあまり水を吸わない状況だったと思われる。それに対して大量の雨が降って、その水が『れき層』のところに集中したことによって壊れたんだろう」

鳥井特任准教授は「災害発生のメカニズムの分析が、将来的には住民たちに土砂災害のリスクを理解してもらい、早めの避難につながる材料になれば」と考えています。

鳥井特任准教授「家の周辺がどういう地形になっているのか、どういう地質なのか、あらかじめ知っておくと、もしもの時に早めの避難に結びつけることが可能」

熊本県内の被害まとめ

8月20日午後3時時点の県のまとめでは、死者が4人、安否不明が1人です。

家屋被害は全壊が8戸、半壊が41戸で、床上と床下を合わせた浸水は5000戸を超えています。