子ども達がSNSで犯罪に巻き込まれるケースが後を絶ちません。被害者だけでなく、加害者になる可能性があるのが「誹謗中傷」の問題です。

誹謗中傷を受けた当事者が、その苦しみを子ども達に伝えました。

8月3日、SNS上での誹謗中傷をテーマにしたシンポジウムに中高生や保護者の約70人が参加しました。

講演した松永拓也さんは、2019年に池袋で起きた乗用車の暴走事故で、妻の真菜(当時31歳)さんと娘の莉子ちゃん(当時3歳)を亡くしました。

2人との思い出の動画があります。父の日に莉子ちゃんと真菜さんが絵やケーキを準備してくれた時の動画です。

2人を失った松永さんは、当時、自ら命を絶つことも考えましたが「2人の死を無駄にはしない」と、記者会見を開きました。

松永拓也さん「全国の人に見てもらえば誰かが『安全運転しよう』と思ってくれるんじゃないか。それが2人の命を無駄にしなかったと2人に言えることなんじゃないかと」

その後、乗用車を運転していた当時87歳の高齢ドライバーを相手に民事裁判を起こすなど、マスメディアから注目された松永さん。その頃からSNS上で誹謗中傷を受けるようになりました。

「駄々こねるな 事故で妻と娘を亡くしただけだろ」

「金や反響目当てで闘っているようにしかみえません」

こういったSNSでの誹謗中傷について、事故以降、松永さんの取材を続けるTBSの守田哲記者は「集団化してしまうとさらに過激化して、エスカレートしていく」と指摘します。

TBS 守田哲記者

このような現象は「エコーチェンバー効果」と呼ばれ、誹謗中傷が増幅し、被害が拡大する恐れがあるのです。

警察は、松永さんを誹謗中傷する投稿をした5人を摘発しました。