実は中山さん、登校だけでなく下校も一番遅い生徒です。午後9時過ぎ、みんなが下校する中で、中山さんは一人教室に残っていました。そこへ先生がやってきます。

先生「きょうは『に』から練習するぞ。この間は『ひ』とか『ら』とかの練習したけども、曲線があるのはやっぱ難しいわな」
中山さん「ですね」
先生「だけん、ゆっくりでいい。ゆっくりでいいけん、ちゃんと書く練習をしてください」

一体何を練習するかというと、ひらがな。実は中山さん、文字の読み書きが苦手なんです。

ひらがなを練習する中山弘樹さん

「字をしっかり学びたい」と、直接学校に依頼して実現した放課後のマンツーマン授業。教務主任の先生が、中山さん専用のテキストを準備しました。

先生「さあ、丸くならんように…止める。よし、できた。ちょっと下がゆがんだね…あとは全部バランス取れている。ただね、意識的にはもっと狭くてもいいという意識を持つ」
先生「そうそう!うまい!中山の『な』、やるね。上手に書けているよ」