「内密出産」などで生まれた子どもたちが、親や生まれ育った環境などを知る「出自を知る権利」について、議論を重ねてきた検討会が熊本市の大西市長に報告書を提出しました。

「出自を知る権利」を巡る課題

親が育てられない赤ちゃんを匿名で託す「こうのとりのゆりかご」(いわゆる「赤ちゃんポスト」)や、母親が病院にだけ身元を明かして出産する「内密出産」を巡っては、家庭環境などが原因で身元情報を出せない親と、自分がどのように生まれたのかを知りたい子どもの間で、「出自を知る権利」やその知らせ方などが課題になっていました。

そのため、熊本市と内密出産などに独自で取り組む慈恵病院は共同で検討会を立ち上げ、有識者など18人が2023年から12回にわたり意見を交わしてきました。

3月21日に提出された報告書では、親の身元情報や妊娠のいきさつなど、出自に関する情報をどのように収集・保存するのかポイントを整理。そして子どもに開示する場合のタイミングなどについて一定の指針を示しました。

開示請求できる年齢「18歳が適切」

まず出自に関する情報は、父母などからの聞き取りで収集しますが、その際、確認書類の提出は求めません。

また、現時点での情報の管理・保存先には、受け入れた医療機関と児童相談所を指定しました。

一方、こうした情報について開示を求めることができる子どもの年齢は「18歳が適切」と明記しました。

報告書ではさらに、内密出産や「出自を知る権利」について、熊本市が中心となって国に法制化を求めることなども提言していて、今後は熊本市や国の動きが焦点になります。