「生の語り」が失われる危機

水俣病患者を支援するため50年前に設立した「水俣病センター相思社」です。

ここでは水俣病の裁判や患者への聞き取りの映像を記録した834本のVHSテープが保管されています。

湿気が多く、中にはカビが生えたものも。

VHSテープの2割ほどは、まだDVDやデジタルデータにできていません。

水俣病センター相思社 小泉初恵さん「人手が多かったときには相思社の職員で頑張ってデジタル化していたんですけれども、今なかなかそれに割く時間と余裕がなくて」

多いときで20人いたスタッフは、今では5人に減り、資料の整備や活用に関する国からの補助がない今、ダビング業者などへの委託も厳しいといいます。

小泉さん「(水俣病に)興味を持った人がこのあと出てきたときに、この人のことを調べたいと思ったときに生の語りが残っているというのはすごく大事」

またセンターには、約1280枚のDVDもありますがDVDにすれば安心という訳ではありません。

映像管理の専門家は「DVDの再生機器もビデオデッキと同じように、将来的には生産が終わる可能性がある」とし、長く映像を保存するために早めの “デジタル化” を呼びかけます。

冨田研究員「重要なものを20~30年後見られるようにするためには、ビデオテープからDVDやディスクにするのではなくて、デジタルファイルにする必要がある」

(スタジオ)
キャスター「いつか見るかなと思ったら見られなくなる状況に来ているわけですね、早めの手立てしておかないといけないわけですね」

後生川凜アナウンサー「テープの劣化で映像が見られなくなる場面がありましたが、ダビングの業者に頼むとクリーニングなどをして見られるようになるケースもあるということです」