◆ジレンマを抱える研究者


いろいろな議論がありました。ガザで起きていることに対し、「国際人権法にかかわる人間が何かをしなければならないのではないか」という気持ちと、「イスラエルとハマス、どちらに有利になってしまうのか」を考えると、「どっちもどっち」という話になってしまうのではないか。

今のガザ地区の状況、その一点だけを止めるためだけに集中すべきじゃないか。または「歴史的な背景も考えるべきじゃないか」。いろんな議論があるのだな、と学者さんたちの議論を聞いていて思いました。

青山学院大学法学部長の申惠?(シン・ヘボン)教授:ウクライナ侵攻でも議論になったんですけれども、どうしても学会として文章をまとめようとすると、皆さん研究者ですから文言についての議論が長引いてしまって、スピーディーな対応がしにくい部分があるんですね。そうこう言ってる中にどんどん事態が展開していくという問題があって、それがとてもジレンマだと感じてきました。

なので、1つの方法は、学会としてどうしても合意が取れなければ、「有志一同」という形での何らかの声明を発表することはありうると思います。

あともう1つは、学会ですので、これからの研究活動の中で、今起きていること、歴史的背景も含めて、今後の大会、あるいはオンラインフォーラムという形で取り上げることも含めて、分析をともにしていく、深めていくという方向もあり得ると思っています。
ですから私が考えているのはとりあえず2つで、1つはまず緊急の立場表明なし声明の発表。学会として出来なければ有志で。もう1つは研究活動の中で取り組んでいくということです。