課題となるのは、クレジットカードのタッチ機能が交通系ICの上位互換ではないことだ。はやかけん(福岡市交通局)やSuica(JR東日本)などのICカードは基礎技術にFelicaを採用する一方、VISAタッチは国際規格のNFCTypeA/Bを用いる。


両者を比較すると、Felicaが認識距離でも処理速度でも有利だ。交通系ICカードを日常的に使っている人は、クレジットで改札を通るとわずかながら「遅れ」を感じる可能性がある。今回の実証実験では、ラッシュ時の使用感や利便性などを検証する。


ところで、クレジットカードを直接、公共交通機関で使う実証実験はすでに全国各地で実施されている。これまで専用の読み取り口を別に設ける事例が多かったが、31日から始まった福岡市地下鉄の実験は、読み取り口を交通系ICのタッチ部のすぐ近くに配置し(一体型)、使いやすさに配慮した点が新しいという。

福岡市交通局は、タッチ決済の導入が進めば紙の切符の使用が減り券売機のメンテナンス費用の削減にもつながるとみている。実証実験は来年2月28日までの予定。