身の回りにあるものを災害時に活用する「フェーズフリー」という新たな考え方が広がっています。キーワードは「日常に溶け込んだ防災」です。
◆被災地へ派遣できるホテル

去年オープンした「HOTEL R9 The Yard豊前」。コンテナ型の客室が36部屋並んでいます。客室の内部はベッドに風呂、トイレが設置された「普通」のビジネスホテルですが、客室の外部は「普通」ではありません。
アールナインホテルズグループ 若本光平マネージャー「それぞれの客室にタイヤと車両ナンバーがついてて、有事の際にはいつでも被災地へ派遣できるホテルとなっている」
◆「レスキューホテル」とも

よく見てみると、コンテナ型の客室はタイヤがついたトレーラーで、入り口の反対側にはナンバープレートも付いています。トレーラーヘッドと呼ばれる車両でけん引すれば、すぐに移動することができるのです。このようなホテルは「レスキューホテル」とも呼ばれていて、災害時に仮設住宅などとして活用することができます。開発のきっかけは、東日本大震災でした。
若本マネージャー「避難所で多くの方が生活に苦しんでいる状況を目の当たりにして、移動できるコンテナであれば、災害時でも迅速に安心安全な空間を提供できると思った」
◆非常時にも役立つ

運営会社によると、これらコンテナ型の客室は、水道や電気などのライフラインが確保されている場所に移動後、最短3日で使用可能です。災害時のほか、新型コロナのPCR検査所などの医療施設としても活用されたということです。このホテルのように身の回りにある物やサービスを、日常時はもちろん非常時にも役立てる「フェーズフリー」という新しい考え方が広がっています。







