◆試した苗の数は1万超

いちごの品種開発は、気が遠くなるような地道な作業の繰り返しです。性質が異なるいちごをかけ合わせてできた種を植え、苗に実ったいちごの味をひとつひとつ確かめていきます。
石川雄一さん「最初に食味検査で食べた時は、本当にそれだけほかのいちごとは違って『おっ!』と思った」
開発までの6年間で試した苗の数は1万を超えました。
石川雄一さん「それくらいしないと、やっぱりいいやつは生まれない。何千、何万と植えないとですね」
その味は専門家からも高い評価を得ています。
石川雄一さん「入賞しました。まさか取れると思わなかったんですけど、うれしいです」
◆やむなくJA脱退し生産

「綾美姫」の開発に成功したものの、次は販路の問題に直面します。広川町のJAではあまおう以外のいちごの生産は認められていません。やむなく脱退し、自ら販路を見つける必要に迫られました。SNSなどを駆使して発信を続けた結果、福岡市内にあるスーパー6店舗のほか、海外にも販路を開拓することができました。
石川雄一さん「今、取り引きしているバイヤーの方はけっこう評価してくれているので、それを聞いたらいけるのかなって一応思っていますね」
◆“世界中の人に食べてもらえたら”

「綾美姫」の評判を聞き、県外の人気カフェからも「ぜひ使わせてほしい」と声がかかりました。最近では購入を希望するメッセージが直接送られてくるなど、リピーターも増えてきています。
いまはまだ生産量はわずかですが、来シーズンには約4倍に増やし、本格的に販売していきたいと意気込んでいます。
石川雄一さん「おいしいって言ってくれる人も多いので、そこを期待して、日本のみならず世界中の人に食べてもらえたらなと思っています」