コロナ禍による制限が緩和され経済が再び動き出しました。福岡市内のデパートでもバレンタイン商戦に力を入れていますが、チョコレートにも値上げの波が及んでいます。

◆氷点下の朝にもかかわらず、行列

福岡市の大丸福岡天神店は、25日にバレンタインチョコの特設会場を開設しました。記録的な寒波にも関わらず、初日は午前10時の開店前から100人以上のお客さんが列を作りました。

一番前に並んだ客「8時10分か20分くらいから(並んだ)。自分用と、職場の人におすそわけ」


大丸で特に人気を集めているのが、本館1階にオープンした北海道発=冬限定のスイーツです。「SNOWS(スノー)」生クリームとイチゴを使った口当たり滑らかなトリュフチョコレートや定番商品のチョコレートサンドクッキーなど、九州ではここでしか買えない商品とあって次々に売れていました。

購入した人「幸せなひとときを楽しむためのお菓子です」
夫婦「冬しか買えないので、楽しみにしてた」「(夫が)1人で食べるって」

◆大丸『九州チョコ深発見』は地元を応援

RKB堤千春「今回のテーマは『九州チョコ深発見』ということで、地元・九州の老舗の店はもちろん、バイヤーの推しスイーツがたくさん並んでいます」

大丸はコロナ禍で苦しんだ地域経済を活性化しようと、例年以上に九州の食材やスイーツ店を集めました。
「モリノイロ」のバームクーヘンは2022年7月、福岡市内の結婚式場で発売された人気商品でバレンタイン限定でその場でチョコをトッピングしてくれます。


モリノイロ パティシエ 高畠ゆかりさん「国産小麦と発酵バターを使った、柔らかい甘味が特徴のバームクーヘンなので、合うチョコレートを探して、いろいろな食材を組み合わせて作っています」


福岡市内に店舗を構えるチョコレートの専門店「ハニカムショコラッティー」は、コロナ禍による行動制限が緩和されたことを受け、3年ぶりにイートインコーナーを設けました。

◆「自分用のごほうび」が多数

大丸では8階の特設会場など3つの売り場で約100ブランドのチョコレートを販売していますが、多くのお客さんが「プレゼント用」ではなく「自分用」に購入していました。

来店客「いろいろなチョコレートがあってワクワクします。自分用にごほうびみたいな感じで」
「僕、本当にチョコレートが大好き、この時期になると自分のために買ってるんです」
「9割方、自分用。家で食べる用は買ったので、イートインとか見て回りたいな」

◆気になるのはお値段……

気になるのが価格です。原材料費や輸送費の高騰などで、バレンタインのチョコも平均で10%前後値上がりしていて、各社とも対応に追われています。

「今年のバレンタインのラインナップに、初めて中東・レバノンのチョコが登場しました」


百貨店の高島屋は価格を抑えるため、新たなブランドを発掘しました。これまでフランスやベルギーなどが中心でしたが、円安や輸送費の上昇で価格が高騰、そこでナッツなどの原材料費が比較的安い中東・レバノンや、現地の物価が安いチェコのブランドを初めて展開しました。

一方、大丸福岡天神店は海外よりも割安感のある国内のブランドに目を向けてもらうともに地域経済を支援しようと、九州のブランドを「推し」スイーツとしてラインナップしたということです。



大丸福岡天神店 箱崎純史さん「海外ブランドは、どうしても輸送費が値段に反映してくる。国内のおいしいものをしっかり紹介する機会に今回はしています」

◆初の値上げ……「クオリティを落とさずに」

百貨店が対応に追われる中、値上げを余儀なくされた店も少なくなりません。福岡市中央区にあるガトーショコラの専門店は2月1日から、オープン以来初めて値上げします。


ごほうびショコラ オーナーパティシエ 松尾葉平さん「チョコレートの原材料が高騰して、約1割仕入れ値が上がったのが一番の原因」

チョコレートだけではありません。包装資材や紙袋の値上がりも大きな負担となっています。松尾さんはバレンタインに対する思い、商品へのこだわりも強くあることから、今回の値上げは「苦渋の決断だった」と言います。



ごほうびショコラ オーナーパティシエ 松尾葉平さん「バレンタインデーは皆さん思いがあると思うので、買って良かったな、おいしいなと思ってもらえるように、絶対にクオリティを落とさずに喜んでもらえるようなチョコレートを作りたい」