基本条例を持たず裏金まで出していた福岡県議会
かたや、福岡県ではご存じの通り、つい最近まで高額な海外視察が繰り返され、それどころか、任意の集まりである議員連盟に対して毎年度、上限1200万円の補助金を出していたことも発覚しました。全国で福岡県だけ、公開義務のない「第二の政務調査費」=もっとはっきり言うと「裏金」を支出し続けていたわけです。
一方で福岡県議会は、九州の県議会で唯一、議会基本条例を持たず、ですから執行部の反問権も導入しておらず、文書質問制度はあるものの、質問書と回答書がセットで公開される仕組みもありません。
もっとも、議会基本条例を制定していないのは、福岡のほかに東京や埼玉、山口など14都県あり、政令指定都市でも仙台、大阪、熊本の各市は未制定です。ただ、福岡県議会で今回これだけの問題が噴出したのは、制度の不備もさることながら、それ以前に議会と行政のなれ合い、緊張感の無さが大きいと、私は思います。28年前の長崎がまさにそうでしたから。今は違うと信じたいですが。
最後に、28年前の連載最終回、当時の若手県議は「有権者も、頼み事への対応や冠婚葬祭への出席でなく、議員を政策能力で評価してほしい」と話しました。ただ、そうした特定の利害や関係性で議員が当選できる最大の要因は、投票率の低さです。
前回、2023年の福岡県議会議員選挙の平均投票率は35.5%。無関心が、なれ合いや議員の特権を20年以上放置し、改革を進めてきた自治体との差をここまで広げました。
今回は西日本新聞のスクープをきっかけに、ほぼ全メディアの報道合戦となって、次々に問題が明るみに出ました。その意味ではメディアの役割も大きく、福岡では議会の実態を調べなかった我が身の不明を恥じます。
ただ程度の差こそあれ、事はおそらく福岡県議会だけのことではありません。皆さんの住む市区町村はどうですか? 県外で聴いてくださっている方があれば、皆さんの県はどうですか? 議員だけでなく、知事や市町村長は行財政改革や情報公開に熱心ですか?
来年は統一地方選挙の年です。どうか関心を持って、確かな情報に基づいて、投票に行ってください。福岡に限らず、後ろ暗い議員や首長がいま一番望んでいるのはきっと、有権者が忘れてくれること、だからです。
◎潟永秀一郎(がたなが・しゅういちろう)

1961年生まれ。85年に毎日新聞入社。北九州や福岡など福岡県内での記者経験が長く、生活報道部(東京)、長崎支局長などを経てサンデー毎日編集長。取材は事件や災害から、暮らし、芸能など幅広く、テレビ出演多数。毎日新聞の公式キャラクター「なるほドリ」の命名者。







