国内のノリの生産量(2021年)で、4分の1近くを占めた佐賀県。生産量、販売額ともに、19年連続で日本一ですが、2022年秋から赤潮が発生するなどして、ノリの量・品質ともに大きな影響を受け、厳しい状況が続いています。


◆最大のノリ生産地で「色落ち」が

ノリの生産が19年連続日本一の佐賀県。今シーズンも生産の真っ最中ですが、例年にない厳しい状況に置かれています。

佐賀県 坂本洋介副知事「見ていただくと明確に分かりますが、色が非常に落ちていて、量も相当数少ない」

1月、佐賀県白石町の沖合で撮影されたノリの状況です。通常の黒いノリと比べ、色が落ちて茶色っぽくなっているのが分かります。なぜ、こうした状況が起きているのでしょうか。


◆海の上で起きている“異変”

有明海に注ぐ早津江川の港から、20分ほど沖に出たノリの漁場です。

深川照弘さん「うわ! もう全然黒くないもん。もう黄色になっとる。ちょっと雨で(色が)戻ってこのくらいです。雨の栄養で。栄養を取りきらんでおるから、普通よりも伸びきらんでおるですね」
Q.収穫してノリにできそうですか?
深川さん「いやー、できるのはできますけど…。うーん…何とも言えない感じ」

佐賀県によると、ノリ養殖の網を張った10月以降、雨が少ない状態が続き川の水量が減少。川から海にもたらされる、ノリの生育に必要な栄養も減っていきました。さらに日照時間が増えてプランクトンが大量に繁殖し、有明海の広い範囲で赤潮が発生。プランクトンに栄養を奪われたノリが、いわば栄養失調の状態に陥っているのです。


◆年明け最初のノリ入札会では……

1月20日に開かれた、年明け最初のノリの入札会。例年と比べ、会場が広々としているように見えます。この日出品されたノリの枚数は4300万枚余りで、豊作だった前のシーズンの同じ時期と比べると約4分の1。例年と比べても半分以下になりました。

佐賀県有明海漁協 深川辰已参事「ノリにはものすごく悪い条件がそろったスタートとなりました。まだまだ生産者も諦めていませんので、はっぱをかけながらがんばっていきたい」