ロシアによるウクライナ侵攻が原油高騰に拍車をかけ、福岡のクリーニング業の経営にも暗い影を落としている。溶剤を回収し再利用したり、稼働する工場を減らしたりしてコストを抑える工夫をしているものの、廃業を決めた業者も出てきている。


新型コロナで需要減少

福岡市を中心におよそ150店を展開する「パンジークリーニング」の工場。各店舗から回収したワイシャツなどこの日も大量の布製品を洗濯していた。しかし、新型コロナの影響により外出の機会が減少し、ワークスタイルも変化したことでクリーニング自体の需要は以前よりも3割ほど減ったという。



「外出自粛によって出かける頻度が減って、テレワーク、それから出張自体がなくなったりして、ワイシャツとかスーツ類というのが激減した」(永石社長)



永石社長は、新たに集配の事業を始めるなど打開策に取り組んでいた。そこに追い打ちをかけたのが原油価格の高騰だ。



ドライクリーニングは、石油由来の有機溶剤を使用している。原油高に伴ってその溶剤が値上がりしているのだ。



「ずっと高騰し、一昔前からすると2倍、3倍という形に上がってきています」(永石社長)

永石社長の工場は、新型コロナが流行する前からハンガーのリサイクルや仕上がった服に使う袋を薄くするなどのコスト削減策に取り組んできた。さらに、洗浄に使った溶剤を回収して再利用するなどの工夫をしているという。

ただ、影響はこれだけではない。