伝統を守ることだけを大事にしてきた日本相撲協会「センスがなかった」

Q将来SUMOがオリンピック種目のひとつになる可能性は?

スポーツライター 小林信也さん
今、すでにオリンピック=アマチュアという訳ではないので、元白鵬の取り組みが単に大きなお金を動かすだけではなくて、女子も含めた世界的なプロスポーツとしての相撲の普及につながるかもしれません。

元白鵬は「白鵬杯」という子どもの大会をいち早く開き、新横綱・大の里もそこで優勝した力士の1人です。

SUMOが単なるお金儲けではなく、世界的な普及に繋がってくれればとっても楽しみです。

本当は日本相撲協会がやるべきことですが、やってこなかったのはセンスがなかったと言えますね。

Q日本相撲協会は「センスがなかった」とは

スポーツライター 小林信也さん
やはり自分たちの伝統を守るということだけを大事にしていて、今世界で求められていることへの対応が非常に遅いし、後ろ向きな感じがしますよね。

SUMOに流出してしまいそうな「選手」の名前

Q大相撲の人気力士がプロリーグのSUMOに流出してしまう恐れは考えられませんか

スポーツライター 小林信也さん
実は1人、すでに流出してしまいそうな、すごい人がいます。かつて、横綱大の里のライバルとも呼ばれた「選手」が。

相撲界に入ってない「花田秀虎」は和歌山県出身で日体大の1年生の時にすでにアマチュア横綱になっています。今は大学を辞めてアメフトに転向し、NFL(アメリカのナショナル・フットボール・リーグ)入りを目指しています。元白鵬とは親交があります。

花田選手は相撲界でも有名ですが、25歳が大相撲への入門の期限。2001年生まれの花田選手が大相撲へ入門するのか、それとも元白鵬のSUMOへ進むのか。私自身は元白鵬の方へ行く可能性はかなりあるのではないかと思っています。

元白鵬は花田選手というすごい大器を携えて、新しい相撲を起こすという目論見も、もしかしたらあるのかもしれません。

聞き手 RKB毎日放送アナウンサー・下田文代

小林信也(こばやしのぶや)作家・スポーツライター
1956年新潟県長岡市生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。長岡高時代は野球部投手。春季新潟県大会優勝。
大学ではフリスビー同好会を設立し、日本選手権優勝、世界選手権出場。
大学時代から雑誌ポパイのスタッフライター、後に雑誌ナンバー契約スタッフを経てフリーランス。
主にスポーツノンフィクションを中心に多彩な分野で執筆活動を展開。
主な著書に《長島茂雄語録》《長嶋茂雄永遠伝説》《野球の真髄》《真夏の甲子園はいらない》《YOSHIKI蒼い血の微笑》《カツラーの秘密》《柳都新潟古町芸妓物語》《武術に学ぶスポーツ進化論》など。
最新刊は《大の里を育てた〈かにや旅館〉物語》。
テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。週刊新潮に《アスリート列伝覚醒の時》を好評連載中。