水面から発着する「零式水上偵察機」

地元の資料館は玄界航空基地に関する展示を2年前から行っています。

志摩歴史資料館 稲冨聡さん「あえて基地としての施設を大がかりに作らない。住民の中に集落の中に溶け込むような感じで、施設も全ての集落の中の民家やお寺とか旅館なんかを借り上げて、基地の施設とした」

ロビーに展示されているのは基地で運用されていた零式水上偵察機(れいしきすいじょうていさつき)の部品です。

零式水上偵察機は、翼の下に浮き=フロートがあり水面から発着する飛行機で、主に偵察任務に使われていました。

大部さんが資料館に託した部品からこの偵察機が、福岡で作られていたことがわかります。

志摩歴史資料館 稲冨聡さん「銘板がついているんですよ」「製造所が株式會社渡邊鐵工所と書いてあります。九州飛行機のことですね。使用機体は零式水上偵察機一一型」

戦時中に軍用機を生産した「渡辺鉄工」

福岡市博多区の「渡辺鉄工」は戦前から続く会社です。

戦時中は「九州飛行機」という名前で軍用機を生産していて、当時の建物が今も使われています。

ただ、終戦直後にほとんどの資料が処分されたため詳細は伝わっていません。

「ゴジラ-1.0」に登場した「震電」も製造

その九州飛行機が製造したのが映画「ゴジラ-1.0」に登場した局地戦闘機「震電(しんでん)」です。

大刀洗平和記念館はゴジラの撮影で使われた「震電」の実物大の模型とともに九州飛行機について紹介しています。

大刀洗平和記念館 岩下定徳さん「学徒動員の方たちも含めて2万人以上の方たちが九州飛行機で働いていました。零式水上偵察機も戦時中1200機以上の生産を九州飛行機が手掛けていました」

現在の春日公園や陸上自衛隊の基地を含む広大な敷地があった九州飛行機で零式水上偵察機の8割が製造されました。