「削ったような痕、ほとんどなかった」

亡くなったあと開示された歯科医院作成のカルテ。両親は、16本のうち14本がむし歯とされていたことを初めて知りました。異変が起きたのは一度に5本の歯を治療した4回目。歯科医師は初めて局所麻酔薬「リドカイン」を使用し、歯を削る治療をしました。
しかし、亡くなったあと叶愛ちゃんを司法解剖した池田典昭医師は、「削ったような痕は、ほとんどなかった」と証言しました。
九州大学名誉教授・池田典昭医師
「麻酔をかけるというのは、深部まで削って神経に触れると痛いので麻酔するわけですよね。乳歯といえども麻酔をかけるほど削るということはある程度、実際に治療した場合には削られていなければいけないんですけど、削ったような痕もほとんどなかったんです」
その上で、過剰な治療だったのではないか、との見方を示しました。
九州大学名誉教授・池田典昭医師
「乳歯なのでそのまま抜けるのを待ってもいいし、他の歯にむし歯が進まないように予防的に治療する、その程度の治療でじゅうぶんだと思います。ですから何も危険性のある麻酔をかけて削る必要がないのではないか。何か所も麻酔の注射をうったということなので、ひとつはそれでびっくりしました」