尾道市中心部と向島を結び、「1円ポッポ」と呼ばれて親しまれてきた「福本渡船」が、3月31日に明治時代からの歴史に幕を下ろしました。

1889年、「福本渡船」は手漕ぎの船から始まりましたが、自動車や二輪車も乗せられるフェリーに変わりました。1日あたり尾道水道を75往復、時刻表はありません。かつては運賃が「1円」だったこともあり、「1円ポッポ」と呼ばれましたが、今は大人1人60円です。

従業員
「普段の付き合いはないんじゃけど、知り合い・顔なじみが、きょうで最後じゃね言うたら…ちょっとこみ上げて来るわねえ。そういう人がたくさん。さみしいね」

尾道市街地と向島の間には、1968年に尾道大橋、1999年にしまなみ海道が開通しました。2013年に尾道大橋が無料化した後は、福本渡船の利用客は大幅に減少したそうです。桟橋など施設の老朽化も進んだこともあり、この度、廃業を決めました。

利用者は─
中学3年生(向島住民)
「買い物行くときも必要だし欠かせない」
高校3年生(向島住民)
「さみしい感じです」
奈良から
「龍が如くっていうゲームの中でここが出てて、きょうで終わりっていうのを知って、運航している間に一回は乗っておきたいなと思って」
尾道住民
「橋を通って行けばすむんだけど、そうでない物語があるでしょう。そういうことでみんな集まられてるんじゃないの。最後の船が行き来しているわけだから、それに立ち会いたい…感無量ですよね」
地元住民
「1円か1円50銭払った覚えがあるね。(Q.当時は1円ポッポって呼ばれていたんですよね?)もう記憶がないね。82だからね。当時は青春だね」

今後、尾道と向島を結ぶ渡船は、第三セクターが運営する2つの航路のみとなります。

福本フェリー 福本雅子 社長
「今まで135年もやってこられたのは皆様のおかげなので、感謝の気持ちでいっぱいです」

午後9時すぎ、福本渡船の最終便は、尾道桟橋を出発。約300人のファンに見送られながら長い歴史に幕を下ろしました。