人生を変えた声帯手術

高校進学後も吹奏楽部に入り、卒業後は尚美学園短期大学の音楽学科に入学。引き続きフルートを学ぶ。しかし二十歳の時、交通事故で指を骨折。音楽自体をあきらめ、短大を卒業後はカイロプラクティックの学校を経て、サウナ東京ドームで働いた。

「実は卒業後にドイツ留学が決まっていたのですが、事故もあり、このまま行っても…と思うようになり、あきらめました」

順調に仕事をこなしていたが、26歳の時に喘息が再発。何度か緊急入院することがあった。

「このまま死にたくないと思ったんです。そこでフタをしていた音楽をもう一度やって人生を終えたいという風に。そして久しぶりにフルートを吹いてみたのですが、思うような音が出ず…なのでオーボエを一から学ぶことにしました」

入院をきっかけに音楽に再び携わりたいと決めた柏田さんはすぐにドイツへと渡り、オーボエのレッスンを受けた。その時に、オーボエの師匠から『君苦しそうなブレスをするね。少しでも妨害するものはとった方がいいよ』と声帯の手術を勧められる。

「オーボエ奏者は水泳のクロールのように連続で息継ぎをする必要があるんです。アドバイスを受け入れ、オーボエのために手術することを決めました」

帰国した柏田さんは、声帯にあったこぶのようなポリープを切除する手術を受けた。手術は成功。この手術が彼女の人生を大きく変えることになる。

「すごく声が出るようになったんです。私こんな声を持っているんだと感動しました。両親に歌を披露した時、大泣きして喜んでくれました」

ところが今度は左手の指がしびれる尺骨神経麻痺を患い、症状が徐々に悪化して遂にはオーボエを続けることができなくなった。