5年ぶりイタリアン復活…出会いと感謝

5年間の闘病を経て今年8月、原田口さんは再びシェフの道を歩き始める。大分市中戸次にある古民家を改修。妻となった萌子さんとともに一度は閉店したイタリアンを再びオープンさせた。

原田口さん:
「何十年かかっても絶対にもう一回やると決めていたので再開できてすごくうれしいです。反面、5年間のブランクと体の変化で思い通りにいかないモヤモヤ感があって複雑な感じです」

「前のようには動けないにし、痛みが強いんです。足をひきずったり、痛みに気をとられたりして…。お客さんに迷惑をかけないような営業形態にしたい」

食事はランチタイムのみ提供している。前菜のサラダ、パスタは3種類から選択、パン、デザート、ドリンクのセットで2200円。ランチ後は高校の調理科に通っていた妻の萌子さんがカフェを不定期で営み、オリジナルのスイーツやドリンクを出している。その間、原田口さんは厨房で仕込み作業に。以前の店と同様、食材にこだわっていて、そのほとんどを自ら調達している。

原田口さん:
「この地区にはおいしい野菜がたくさんあるんです。こだわりがあるので自分で仕入れに行っています。最近、農家さんとの出会いもあって懇意にしてもらっているんです」

「基本、ホールの接客は妻にやってもらっています。本来だったら僕も出ていくのがベストなんですが…。お客さんに対してもそうなんですが、何より妻には本当に申し訳ないと思っています。ただお客さんが来るとき、帰るとき、必ず顔をみるようにして、ちゃんと感謝を伝えています」

オープン以来、店は順調で11月末まで予約でいっぱいという。義足を新しくし、体調も変わらずで、いずれディナーもやりたいと明かす。

原田口さん:
「周りに支えてもらわなければ、ここまで出来ていないと思います。だから人への感謝の気持ちは以前と比べかなり変わりました」

「屋号として『hitoyoshi』、人を良くするということを掲げているので、まずは自分がいいものを提供できる状態を作ってみなさんがそれぞれ好きな感じで楽しく食べてほしい。そのお手伝いが僕の作る料理だと思っている」

片足でもあきらめない――様々なハンデを正面から受け止め厨房に立ち続ける原田口さん。店の継続に向けて決して容易な道のりではないが、真心込めた料理で今日も多くの客を迎えている。