気にしない、介入しない…わたしは私

「孤独とか異端として扱われている人たちが実は普通に存在していいんだよということを知る灯台になってくれたらという話をいただいたので私にできることがあればということで公表に踏み切りました」

「初恋は5歳で、その頃から女の子が好きでしたね。男の子は友だち、仲間。そういった対象は自分の中では女の子ばかりだったんです。私はそうなんだろうと思ってて。小学校4年生の時、将来の夢について『皇宮護衛官』って書いてたんですよ。勉強もしましたが、結局ダメだったんですけど(笑)。そう思ってた理由が、どうせ私は人を好きになってはいけない、それを明かしてもいけない、誰とも一緒になれない、誰を守ることもできない…。であれば特定の誰かを守れる仕事に就きたい、この人を守るっていう仕事がしたしくてSPになりたいと、社会人になってもずっと目指していました」

大学時代の菊池さん

「そういう感情は隠してました。母親に1回明かしたことがあったんですけど、絶対外で言っちゃダメって言われて。でも噂はされてましたね。髪の毛も短くしていたし…ネットの掲示板に菊池真琴はレズだと書かれていました」

「性的マイノリティについて理解も進んだと思いますけど、まだ世代差がすごくあって。持論なんですけど、35歳から40歳より下の世代にはかなり受け入れられていて、そもそも話題にも出ないぐらい順応していて、特別取り上げられることもないんですよ。そういった側面が一部にあるよねっていうぐらい。けどそれより上の世代の方はちょっと、そこをかなり重く捉える傾向にあるのかなっと感じています」

ボクシングのかたわら、菊池さんは多様な性について全国各地で講演活動も行っています。

「気にしない、介入しない。私は私、あなたはあなた。こうあるべきなんかいらない。いま目の前にあるそれが事実っていうか、それが本物っていうか、それを自分で受け止める余裕と心の広さを各々が持っていたら、そもそもこんな摩擦は生じてないと思う。これは性的な問題にかかわらず、他のことでも同じです」

菊池さんは先駆者として女子プロボクシング界を盛り上げるため、世界の舞台を目指します。

「世界チャンピオンになって、そして、海外のスター選手との試合に勝って、知名度、そして熱を日本に持って帰るっていうのが目的なんですね。世界チャンピオンになることが目的じゃなくて、そこまでが目的なので。今の現状は全然まだ満足してなくて、そして自分自身を見つめたら全然まだ足りてなくて。なので完全なる道の途中、なんならまだスタートライン寄りのところにいる状態なので、もっともっと追い込んだり、自分と見つめ合ったり、また、ご縁を作るために奔走してみたり、いろんなことに立ち向かって道を作っていきたいなって思っています」