10万人以上の組合員を抱える大分県農協で、役員改選を巡り紛糾。次期体制が固まらない異例の事態となっています。

県内多くのJAが広域合併して2008年に誕生した県農協。今では組合員数10万3000人、販売高348億円を誇ります。全体の運営方針を決めるのが経営管理委員会ですが、6月末の任期満了を前に改選を巡って巨大組織が揺れています。

改選では各地区から選ばれる「地域枠」に14人、外部専門家などからなる「全域枠」に6人が選出される予定です。

経営管理委員会会長・壁村雄吉氏

再選を目指しているのが現在の会長で、JA大分中央会長など5つのJAグループのトップを務める壁村雄吉氏(69)です。壁村氏は3月、従来の日田地区より推薦されましたが、落選。一転「全域枠」に移りましたが、選出されませんでした。

ところが、壁村氏側が、この選考をやり直すよう求めました。

これを受けて6月3日、県農協で協議しましたが、一度出た結論を審議し直すことに複数の出席者から反対の声があがり、結論には至りませんでした。

中央会会長が経営管理委員に選任されない異例の事態について、選考に携わった委員の1人、岩本龍年さんは「現体制への不満が組合員から高まっていることが背景にある」と指摘します。

推薦会議委員・岩本龍年さん

(推薦会議委員・岩本龍年さん)「不祥事を起こしても誰も責任を取らない。誰かが責任を取って次に渡していく形にしていかないと。もう少し現場に目を向けてもらわないと本当によくならないと思う」

一方、OBSの取材に対し、壁村氏本人は「県農協は相次ぐ不祥事で信用事業に制限が課せられている。この制限の解除に向けて改革をやり遂げる必要がある」と話しました。

JAを監督する県は「現段階では選考過程に問題はない」としています。県農協では7日、経営管理委員会を開き、この問題について協議する見通しです。

ただ、正組合員が参加する最終意思決定機関、「総代会」が26日に開催されるのを前に、経営体制を固めることができるかどうかは不透明な状況です。