大分県別府市の背後地にそびえる鶴見岳と伽藍岳で火山性地震が多発したことから、7月8日、噴火警戒レベルが初めて「2」に引き上げられました。

噴火警戒レベルは火山が噴火したときの危険な範囲や住民が取るべき行動を5段階で区分したものです。

レベル4または5になると避難準備や避難を呼びかけます。レベル引き上げから22日で2週間。今後の見通しや地元自治体の対応についてお伝えします。

(大分地方気象台・税所秀昭火山防災官)「噴火警戒レベル2=火口周辺規制に引き上げられました」

鶴見岳・伽藍岳で7月8日、火山性地震が多発。これを受けて、気象庁は噴火警戒レベルを初めて1から2に引き上げました。

伽藍岳では火口から概ね1キロ以内への立ち入りが禁止されているほか、由布市の県道616号塚原天間線が1キロの区間で全面通行止めとなっています。

(糸永記者)「別府市にある伽藍岳の登山口です。噴火警戒レベルの引き上げから10日余りが経ちましたが、現在も立ち入り規制が続けられています」

(鶴見岳の登山客)「伽藍岳を気にしながら降りて来ました。もともと、噴煙が上がっているところなので、あまり近づきたくない」

鶴見岳・伽藍岳は南北およそ5キロにわたって溶岩ドームが連なる1つの火山郡です。鶴見岳はおよそ1800年前、伽藍岳は867年に噴火の記録が残っています。

今回、火山性地震が起きたのは伽藍岳で、1日に92回観測。これまでのところ、噴火の兆候を示す噴煙や地殻変動に異常はないということです。九州の火山に詳しい専門家に聞きました。

(京都大学火山研究センター・大倉敬宏教授)「地震活動自体も水蒸気噴火の時に活発になるような浅いところではなかったので、今のところは落ち着いた状態」

伽藍岳の周辺には温泉や宿泊施設などが点在しています。このうち飲食店の経営者からは不安の声が聞かれました。

(響谷・岡田勲オーナー)「肌で感じるものはまだないけど不安ですよ。落ち着いてもらいたいけど自然のことだから祈るしかない」

由布市では、伽藍岳が噴火警戒レベル2に引き上げられた当初から災害対策警戒本部を立ち上げています。

噴火警戒レベルが4または5になった場合、塚原地区の164世帯340人が避難準備や避難の対象になります。