カンヌ国際映画祭の受賞作「パーフェクト・デイズ(PERFECT DAYS ヴィム・ヴェンダース監督)」が12月22日に公開されるのを前に、主演をつとめた長崎県諫早市出身の俳優、役所広司さんに映画の魅力を聞きました。

諫早市出身の俳優、役所広司さんと、長崎市出身の麻生祐未さんが、12月2日、長崎市内の映画館で舞台あいさつに立ちました。


麻生祐未さん:
長崎に帰ってくることができて、本当に嬉しいです。しかも役所さんと一緒にここに並ぶことができるなんて本当に嬉しいです。

役所広司さん:
長崎はすごく変わってきていて、本当に大都会になってきたなという感じがしました。大都会の人たちには『パーフェクト・デイズ』という映画は、とても心にしみるものがあるんだと僕たちみんな思っています。

今年のカンヌ国際映画祭で役所さんが最優秀男優賞を受賞した映画『パーフェクト・デイズ』

役所さんが演じる役は、東京・渋谷で《トイレ清掃員》として働く主人公の男性です。静かに毎日の生活を送りながらも少しずつ揺れ動く日々がドキュメンタリータッチで描かれています。
「木漏れ日は太陽の最高のプレゼント」単独インタビュー


《トイレ清掃員》の役作りはどういう風に──?
役所さん:
そこはテクニックがありますので、プロの人に教わりながら…清掃中にトイレを利用する方が来るときにどういう対処の仕方をするか、自分が清掃によってきれいにしたときに、きれいになったトイレを見たときに、トイレを利用する人がどういう気持ちになってくれるかというのを期待しながら(行いました)

役所さんには主人公の男性と共通する趣味があるそうです。

役所さん:
モミジとか樹木の実生を鉢植えにして育てる、それは僕もやっていることで、生き物の成長を見守ることが好きですね。
この映画では木漏れ日があって、それに癒されている主人公がいるんですけど、我々人間にとっては太陽の最高のプレゼントですよね。
この映画の楽しみ方は──?

役所さん:
閉ざしていた心に微かな隙間から、家族という暖かい風がふっと吹き抜ける瞬間を感じることができる映画だと思います。
いろんな見方ができる映画で、人それぞれ違うと思いますけど “何か与えられる映画”ではなく“自分で感じる映画”を楽しんでもらいたい。

役所さんが演じたのは “寡黙な男性”で、主役ですがセリフはそれほど多くありません。その分、表情やしぐさ、佇まいで主人公の揺れ動く心まで表現されています。
役所さん主演の映画「パーフェクト・デイズ」は今月22日に全国公開されます。