一般財団法人 長崎原爆被災者協議会 田中重光会長

本日は、高市早苗内閣総理大臣、政府関係者の皆様方、大変ご多忙の中、私たち被爆者・被爆体験者の要望についてお聞きいただく機会を与えてくださり、深く感謝申し上げます。

私は長崎原爆被災者協議会の会長を務めています、田中重光と申します。

81年前、広島・長崎は一瞬にして廃墟と化し、阿鼻叫喚の地獄を体験。生き残った人々も原爆症の不安、生活苦や世間の偏見と差別の痛みに耐え、「再び被爆者を作るな」「長崎を最後の被爆地に」と原爆被害の実相を国の内外で訴え、2021年には核兵器禁止条約が発効し、2024年には日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。

今や被爆者は高齢となり、平均年齢は86歳を超え、その数は減少するばかりです。

その中で、いまだに被爆しながら被爆者と認定されない被爆体験者5,440名がいます。

2021年広島高裁の「黒い雨」判決に対し、菅元総理は上告を断念し、原告84名全員を被爆者に認定するとともに、原告と同じような事情にあった方も救済を検討すると表明しました。

しかし、長崎の被爆体験者はいまだに被爆者とは認められていません。

爆心地から7キロから12キロにあたる地域にも雨も降り、プルトニウムなどの放射性降下物が降り注いだことは調査でも明確で、広島同様、直ちに被爆者と認定してください。

次に、原爆症認定制度の解決に向けて、原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に関わる確認書の約束の実行を求めます。問題を解決するための提言もしています。

2021年1月、核兵器禁止条約が発効しましたが、日本政府は米国の拡大抑止力、核の傘に依存する立場から、6年に至るも条約に背を向け続けています。

ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地区へのジェノサイド、米国のイラン空爆や中国の潜水艦からのミサイル発射実験など、世界の核兵器をめぐる情勢は悪化の一途をたどり、核の脅威は高まっていると危惧しています。

核兵器がある限り、核兵器が使われる可能性はなくなりません。

日本政府は唯一の戦争被爆国として、今すぐ核兵器禁止条約に署名するとともに、北東アジア非核地帯を目指し、世界の核兵器廃絶のリーダーシップをとっていただき、今年11月の核兵器禁止条約の再検討会議に参加することを約束してください。

日本国民は平和憲法に守られて、敗戦後の悲惨な状況から復興し、今日の日本を築き上げました。

81年間、戦争もなく生活が向上してきたのは、真に国際平和を希求する憲法第9条があったからだと私たちは信じて疑いません。

軍事力では平和は守れません。戦争を避けられるのは不断の外交と対話によって信頼関係を築くことであり、これが平和の道を拓くと確信しています。

平和憲法を無視した国家安全保障が強調され、防衛費の増大は日本が戦争できる国になるのではと疑問を感じます。人間の安全保障こそが平和の砦を築くものと信じます。

我が国は非核三原則を国是としてきました。非核三原則の見直しや核共有ではなく、法制化することを求めます。平和憲法に基づく対話と外交政策に徹していただきたい。

私たちには時間がありません。国の閣僚におかれまして、被爆者や被爆体験者さんに寄り添った援護施策を早急に決定されることを切望いたします。

最後に、今日、高市総理大臣は長崎の原爆資料館を見学されました。今、国会議員の中で戦争体験者や戦争を知らない人たちが大部分を占めています。ぜひお帰りになったら、広島・長崎の原爆資料館を見学されることをお勧めください。ありがとうございました。