五島列島の中央に位置する奈留島。その奈留島から船でおよそ10分の場所にある二次離島「前島」で、海上タクシーを活用した救急患者の搬送訓練が行われました。

「足をけがして歩けない」想定で訓練

訓練は、前島に住む男性が転倒して足をけがし、歩行できなくなったという想定で実施されました。
119番通報を受けた奈留出張所の救急隊が、海上タクシーを利用して前島へ向かい、患者を搬送するまでの流れを確認しました。

廃業した海上タクシーの後継として緊急搬送を担う

海上タクシーを運航するのは、前島で宿泊施設を営む益子一也さんです。

これまで前島で救急患者が発生した際は、奈留島で唯一の海上タクシー事業者が対応していました。しかし、運航者の高齢化により2025年11月に廃業したため、益子さんが夜間の緊急搬送業務を引き継ぎました。

今後の緊急時に備え、この日は島民も参加して搬送手順や連携体制を確認しました。

益子さんは訓練を終え、「着岸が一発でうまくいくかなとか、港を出てからスムーズに運転できるかなという不安もあり、結構緊張しました」と振り返りました。

住民からはAED設置を求める声も

訓練後には関係者による意見交換会も開かれました。
前島の住民からは、救命率向上のためAEDの設置を求める声などが上がり、離島医療を支える体制の充実を求める意見が聞かれました。

高齢化で増える離島からの救急搬送

五島市消防本部 によりますと、高齢化が進む離島からの救急搬送は増加傾向にあります。

五島市消防本部の今村善隆消防長は、「特に夜間の緊急搬送については住民から心配の声を聞いていた。新たな事業者に担っていただくことで、少しは安心してもらえるのではないか」と期待を寄せました。

15日から夜間の緊急搬送を開始

今回の訓練を経て、益子さんが運航する海上タクシーは6月15日から夜間の緊急搬送業務を開始したということです。

医療機関へのアクセスが限られる離島では、緊急時の搬送体制の確保が大きな課題となっています。今回の取り組みは、前島の住民が安心して暮らし続けるための重要な一歩となりそうです。