端島の向こう、“もうひとつの島”に桜が咲く—。2024年に放送されたTBS日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」第3話。主人公たちが、端島(軍艦島)の隣にある「中ノ島」で桜を見るシーンがある。劇中では、炭鉱長が島の人々のために桜を植えたというエピソードが語られた。実際の中ノ島にも桜があったのだろうか?

「中ノ島」とは
長崎港沖に浮かぶ中ノ島は、周囲はわずか0.7kmの小さな島だ。端島と同様にかつて炭鉱として開発された。しかし採掘期間は短く、のちに火葬場やレジャー施設として使われ、今は無人島となっている。

島にはかつて炭鉱として栄えた時代のレンガの構造物が今も残っている。昔の写真を見ると、島の頂上に公園が整備されていて、そこには実際に桜が植えられていたという。今はもう見ることができない「公園があった時代の中ノ島」を、ぜひ写真で見てみて欲しい。
「今も咲いている」
一帯で瀬渡し船を運営している馬場広徳船長によると、無人島になった中ノ島では「今も毎年桜が咲いている」という。
中ノ島は海から急峻に立ち上がる形状のため、頂上の木々は外から見えにくい。船から撮られた写真でも、木立の隙間からわずかに花が覗いているだけだった。
—よし、ドローンで撮ろう。