長崎の被爆者4団体らが今年5月に立ち上げた『核兵器禁止条約の会・長崎』の結成アピールに対し、ロシア側から「核禁条約は間違いである」などとする反論文が届いていたことが分かりました。
反論文は今年5月にロシア大使館に送付した「核兵器禁止条約の会・長崎」の結成アピールに対し、ロシアのガルージン駐日大使の署名入りで今月21日に届きました。
この中でロシア側は「ウクライナの特別軍事作戦における、核兵器を使用する可能性への日本の懸念は事実無根」とし、ロシアは核軍縮の誠実な交渉義務を定めたNPT=核拡散防止条約を「遵守している」としています。
そして核保有国が参加していない核兵器禁止条約については「核保有国と非保有国の間に緊張感を生み出し、核不拡散体制を揺るがしかねない」と批判、「核軍縮はすべての国々の安全保障を強化する形で行わなければならない」とし、「核禁条約の作成と推進は間違いである」との考えを示しています。
「核兵器禁止条約の会・長崎」朝長万左男共同代表
「ロシアは核禁条約を完全に否定している。どうやって対話と信頼を深めてNPTとTPNW(核禁条約)の相互補完性を進めていくか、気が遠くなるくらいに難しいし時間もかかる作業だと思う」
会では返信が届いたことを評価する一方、ロシア側の考えは受け入れられない、として、「ウクライナ侵攻は国際法に違反する行為である」など反論する考えです。
世界最大の核兵器保有国であるロシアと被爆地との大きな隔たりを、改めて示した今回の反論文。
来月1日からはロシアやウクライナ、また日本の岸田総理も参加を表明しているNPT再検討会議が始まる予定で、前回2015年に採択できなかった最終文書に合意できるかが焦点となっています。