輪島朝市周辺で発生した大規模火災で店を失った蒔絵職人は再起に向けた歩みを進めていました。蒔絵職人の喜三誠志さん(62)です。2月に取材した当時は「もうこれからどうなるのかな、復興できるのかな」と話していました。

妻とともに朝市通りに店を構え、自身が手がけた商品を販売していましたが、店は全焼。地震から2か月が経とうとする3月1日、ようやく仕事に取り掛かることができました。輪島市内にある自宅兼工房を訪ねました。

蒔絵職人・喜三誠志さん「純金のこれが材料ですね。これにちょっとつけて、蒔いていくという…ぼかしを入れて」
仕事風景火災で店に置いていた作品は全て燃え尽き現在、収入はありません。
こうした中、喜三さんが作品作りの再開を急いだのは、3月23日に金沢市で開かれる「出張輪島朝市」への出店のためでした。

蒔絵職人・喜三誠志さん「客には、まず来てもらって作品を見ていってほしい。ものづくりをしないと見せられない。いろんなものを見てもらって楽しんでもらいたい。」

前日に久しぶりに訪れた朝市通り。
この2か月間を振り返りながら心境の変化を「最初の1か月は生きていくために必死で、そこから徐々に片付けて復帰して仕事もできるようにしなくちゃいけないな。心の中で前向きになるしかない。今はそう思っている」と語っていました。