「目立つ2つの声」が定説化していた
ラットは人間の耳には聞こえない「超音波」を使ってコミュニケーションをとっています。
過去数十年の研究で、ラットは状況に応じて主に2種類の声を使い分けていることが分かっていました。
「嬉しい・楽しい」時などの声は、50キロヘルツ帯で、仲間とじゃれ合う時などに発する「高くて短い」声。これは人間の笑い声に近いものとも考えられています。
一方、「悲しい・怖い」時の声は、22キロヘルツ帯で、天敵が近くにいる時や痛い時などに発する「低くて長い」声です。これは警告や苦痛を表すものです。
「高い声=快」「低い声=不快」
この分かりやすい二分法は、感情研究のモデルとして非常に便利だったため、有用な標準指標として研究の世界で頻繁に使用されてきました。
研究者たちも、「ネズミの感情が“快”と“不快”2種類しかない」と考えていたわけではありません。
ただ、この2つの鳴き声があまりにも顕著に観察されるため、音声の分類方法として定着し、「ラットの感情を測る手堅く便利な指標」として世界中で広く用いられてきたのです。







