「課長不在の間に決めた」? 異色キャスティングの裏側

――まずは単刀直入にお聞きします。なぜ、富野由悠季監督と八坂哲雄先生だったのでしょうか?

担当者: 正直ベースでお話しします(笑)。
九州にはロケット射場がある種子島や、宇宙港に指定されている大分空港があり、半導体や自動車産業も集積しています。宇宙産業へのポテンシャルは非常に高いのですが、実際に参入しているプレイヤー(企業)がまだ少ないという課題がありました。

H3ロケット7号機の打ち上げ 鹿児島県・種子島宇宙センター

そこで、まずは裾野を広げるために「宇宙の有名人を呼んで、科学やモノづくりの視点から語ってもらおう」と考えたのがきっかけです。ちょうど富野監督が別の宇宙イベントに登壇されていたのを知り、「この人だ!」と。

実はその時、課長が休みだったのですが、いない間に決めてしまって。その後、富野監督にオファーを出したところ、快諾いただけまして(笑)。

富野監督と八坂名誉教授の共通点

対談相手には、九州大学名誉教授で、人工衛星を研究・開発しているQPS研究所の八坂哲雄先生にお願いしました。

富野監督は「物語」にリアリティを持たせるために徹底的に理論を構築される方です。一方、八坂先生は「現実」の技術で理想を具現化してきた研究者です。

アプローチは対極にありますが、「地球を大切にする」という一貫したメッセージや、様々な制限がある現実の中で、理想を形にするプロセスには共通点があると感じています。

【用語解説】

■機動戦士ガンダム
 富野由悠季氏が監督を務めた作品。1979年にテレビ放送が開始された日本を代表するロボットアニメ 。モビルスーツと呼ばれる人型兵器を用いた戦争描写や、登場人物の複雑な人間ドラマを描き「リアルロボットアニメ」のジャンルを確立した。
 その後『Zガンダム』『逆襲のシャア』など数多くのシリーズが制作されている。去年は最新のテレビシリーズ『機動戦士GundamGQuuuuuuX(ジークアクス)」が放送。誕生から45年以上経った今も幅広い年代に愛されている。
1月30日から最新映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』が公開中。

■株式会社QPS研究所
 九州大学発の宇宙ベンチャー企業(代表取締役社長 CEO:大西 俊輔)。夜間や悪天候でも地表を観測できる小型SAR(合成開口レーダー)衛星を開発・運用する。
 北部九州を中心としたパートナー企業と共に開発した、軽量かつコンパクトに収納できる大型アンテナ技術に強みを持つ。2023年12月に東証グロース市場へ上場。