目撃情報があったビルの洋服店に聞くと「2日の午後3時ぐらいまでは見ましたよ」ということだった。

当日は午後3時50分ごろ現場を通っている。無くしたと気づいた直後で、探しながら通ったはずだが、その時はいなかった。あと50分早かったら…と悔やまれた。

2日午後3時ごろを最後にコアちゃんの目撃情報は途絶えていた。

目撃情報は2日午後3時で途絶えた

聞き込み40軒…「もう無理」しおりさんを襲った「絶望」…悲しい決断

5日までに聞き込みした店舗などは40軒を超えた。最後に目撃された付近に張り紙も貼らせてもらった。

でも見つからない。

娘は毎朝毎晩「コアちゃんは?」とたずねてくる。「コアちゃん抱っこしたいよ」「コアちゃんと遊びたいよ」言われるたびに胸が締め付けられる。

「おでかけしてるのかな」となんとか返すと、「おまつりにいっているのかな」と無邪気に言う。

もう見つからないことも考えないといけない。

オーストラリア製のぬいぐるみを扱う国内外のサイトを調べに調べたが、どのコアラも微妙に違った。

娘は2歳にしてはしっかりしているところがある。コアちゃんはコアちゃんでないと、きっと分かってしまう。

過去のコアちゃんの写真から、タグを頼りにオーストラリアのあるメーカーを探した。

なかなか見つからなかったが、実家の母が地道にネットで探して、ついにホームページを突き止めてくれた。

「やった!」と思い、オンラインで購入できないか問い合わせのメールを送ったが、返事はなかった。

もう無理だ。絶望の中、テレビ電話で母と話しながら、しおりさんは泣いた。