答えは出ないけど…早く会わせてあげたい
初代のコアちゃんは、大事にされた分、毛がもこもこになっていた。寺川さんが送ってくれた子は、新しいからふさふさだ。娘が違いに気づくかもしれない。
もうひとつ心配があった。今後もし初代が見つかったら、コアちゃんが2匹になってしまう。説明がつかない。
母からは、「初代のコアちゃんを完全になかったことにするのは可哀そうだし寂しい。“コアちゃんの友だち”ということにしたら?」というアドバイスをもらった。
考えたが答えは出なかった。
それでも早く娘にコアちゃんと会わせたい。
コアちゃんがいなくなってから、娘のイヤイヤは急に激しくなっていた。
「ゆずにとっても家族の一員。コアちゃんがいない寂しさが限界だったのかもしれない」
気持ちに迷いを残したままだったが、届いた「コアちゃん」と対面させることにした。
訪れた“再会”の瞬間 ゆずちゃんの反応は
その日の夕食後、しおりさんは、夫とゆずちゃんがいるリビングをそっと抜け出した。
「コアちゃん」を箱から出して手に取る。
「コアちゃん」の手でリビングのドアをゆっくりたたいた。「トントントン…」しおりさんが声を出す。ドアの向こうで、ゆずちゃんの気配が変わった。すりガラスからコアちゃんの影を見つけたようだ。
「きゃー!!」と声を上げながら駆け寄ってくる。
「コアちゃんだー!!」
ゆずちゃんはすぐに「コアちゃん」に抱きついてきた。「あいたかったー!おかえりー!」
事前にあれこれ考えていたことは全部吹っ飛んだ。
「お友だちのところにお出かけしてたんだって」思わずそう言っていた。
「そうなんだぁー!」
心配はあっけなく消えた。
ゆずちゃんは「コアちゃん」をずっと抱きしめてはしゃぎ回っている。ここ最近見なかった全開のにこにこだ。
涙が出た。でも、ここで泣きすぎたら不自然になってしまう。しおりさんは涙をこらえた目で「コアちゃん」とゆずちゃんを見つめていた。「ほんまに良かった…」







