四万十川ではこの時期、河口付近に集まった無数の船から垂らされた水中ライトの色鮮やかな光が幻想的な光景を作り出しています。冬の風物詩となっているシラスウナギ漁の様子をカメラが追いました。
波の音に合わせて光の球が揺れます。ここは、四万十川の河口。光の正体は、船と、水中ライトです。

毎年1月から3月までの間、ウナギの稚魚、シラスウナギの漁の解禁期間のみ、見られる光景。色鮮やかで幻想的な光は四万十川の冬の風物詩として地域で暮らす人や写真家たちに愛されています。

日本からおよそ2000キロ、遠くマリアナ諸島付近でふ化したウナギの稚魚はこの時期、海流に乗って太平洋沿岸にたどり着き、夜になると、満ち潮に乗って川へと遡上します。

漁のポイントに到着すると錨をおろして舟を固定。シラスウナギを見つけるための水中ライトを沈めました。

ほどなく、光に集まる習性をもつ動物性プランクトンを捕食しようとボラの稚魚が群れを成してライトの周りを泳ぎはじめました。黄色く照らされた水面にじっと目を凝らします。細長く透明な魚がゆらゆらと暗闇から泳いで来ました。シラスウナギです。

見つけたら直径20センチほどの網を使って素早くすくい取ります。年によって高値で取引され、その希少性と透明な姿から「白いダイヤ」との異名を持つシラスウナギ。光が反射して虹色に輝くさまは”ダイヤ“の名を冠するにふさわしい美しさです。

途中で、別の魚もやってきました。エバと呼ばれるアジ科の仲間です。
▼川漁師
「エバが寄ってきたらシラスが来なくなります」
「シラスウナギを食べている。水面に上がってくる前にこいつらが食っちゃうんでライバルです。超ライバル」

漁師にとってはとんだ厄介者ですが、エバも生きていくのに必死です。2月の四万十川。寒空の下、ヒトも含めた様々な生き物の思惑が交錯する、水辺の営みが垣間見えました。

高知県四万十町の「四万十うなぎ」です。60年ほど前からウナギの養殖を行っていて四万十川河口で獲れたシラスウナギを仕入れ年間55トンを生産しています。

四万十川の伏流水を使って仕上げることで焼き上がりや味が良くなるといい、町内の直営店で提供されるほか、アメリカやタイなど国外にも発送されています。

▼四万十うなぎ 大前達也 代表取締役社長
「(四万十川の)伏流水でおいしいウナギをつくっていきたい。身は香ばしく、ふっくらしたウナギをみなさんに食べてもらいたい。(シラスウナギは)地域の資源、その資源を養殖場に分けてもらう。生活の源かなといった感じですね」

波の音だけが聞こえるゆったりとした時間が過ぎていきます。シラスウナギ漁は陸からも行われていて河口付近の川岸や堤防などお気に入りの場所にそれぞれが陣取って獲物を待ちます。

ライトの近くを細長い魚体の魚が泳ぎますが…。こちらはイワシ類の稚魚、ジャコでした。狙いのシラスウナギは画面の右からやってきました。

船での漁を先に終えた仲間が合流しました。
▼川漁師
「11月くらいから何かに漁の準備しますよね。船にしてもそうやし、かち(陸からの漁)の人もそうと思うし。皆がざあざあしだすけどね。始まる言うて」

▼川漁師
「やっぱりワクワクしますよ。個人的には始まった時に一匹を見るときまではドキドキする。毎年。2匹目からは普通ながやけどね」
満潮の時間が過ぎてしばらくすると、シラスウナギは姿を見せなくなりました。
▼川漁師
「きょうはちょっと良くないね、ダメやったね」
Q.要因は?
「何やろか、今日の不漁の?ウナギの機嫌やろうね。ね~こればっかりはね、分からんもんね」
県知事の許可漁業であるシラスウナギ漁は水産資源の保護を目的に県内の養鰻業者の受け入れ可能量に応じて漁獲上限や漁ができる期間などが決められています。豊かな山から流れ出た養分が川や海でプランクトンを育み、様々な生き物が命をつなぐ。そして、毎年この時期には、冬の風物詩として、海や川に光が灯る。そんな四万十の光景がこの先も続いてほしいと、願います。














