室町時代に漢詩などの世界で活躍した義堂周信という僧侶がいました。出身地とされる高知県津野町では16日から生誕700年を記念した企画展が開かれています。

突然ですが皆さん、義堂周信という人物をご存じでしょうか?義堂は今から700年前の1325年に土佐国津野(現在の高知県津野町)で生まれたとされる僧侶で、鎌倉や京都を舞台に活躍。将軍足利義満に仏法などの講義もしていました。

義堂の名前は日本史の教科書にも。同郷の僧侶、絶海中津と共に五山文学の盛り上げに貢献したことが記されています。五山文学とは室町時代に京都の禅僧の間で広まった文学で、当時の文化や政治に大きな影響を与えました。

中でも義堂と絶海は「五山文学の双璧」という呼び名もあるほどの詩の名手。
出身地とされる津野町には2人の像が建てられています。

そんな義堂の生誕700年を記念し、16日から津野町で開かれているのが企画展「義堂・絶海と津野山文化」です。会場では義堂の経歴と時代の流れがパネルで分かりやすく解説されているほか、義堂が生きた室町時代の食器や五山文学に関する書籍など約20点が展示されています。

こちらは義堂が自省の意味を込めて書いていた日記、「日工集」。足利義満とのやりとりなども記されていて、当時の歴史を知ることができる貴重な資料だということです。

(津野町 郷土資料館 田中勝幸 学芸員)
「毎日同じ修行を続けてみたり、苦しい生活をしている人がいたら自分の生活を改めようとか、そういうことを感じてみたり、非常に真摯な方だなというふうにこの日記からは感じます」

16日は漢詩を身近に触れてもらおうと書写体験も行われました。書写するのは義堂の漢詩で、離れ離れになった絶海との思い出や、お互いのことを思う気持ちが記されています。参加者たちは静寂の中、一画一画丁寧に書き上げていました。

(参加者)
「ずっと触れてはきているんですけどね、義堂・絶海さんには、津野町にいるから。けど全く知らない世界だったので。歴史に触れられるという感じ、そんな楽しみを感じながらやらせていただきました」

(津野町 郷土資料館 田中勝幸 学芸員)
「昔の方ですし、漢詩家ということでなかなか難しいので、あまり知らないよという方もいらっしゃると思うんですけど、そういった方に、こういう人が高知県にもいたんだということを知ってほしいなという、入口として企画展を見てもらったらうれしいですね」

企画展は11月3日まで津野町の片岡直輝・直温生家で開かれていて、期間中はお茶席の体験や講演会などさまざまなイベントが予定されています。