気象庁は、今後冬にかけて、ラニーニャ現象が発生しているときの特徴が明瞭になると予想しています。ラニーニャ現象とは、平年よりも東風が強まることで、暖かい海水がインドネシア近海に蓄積されて海面水温が高くなる一方、南米沖では冷水が湧きあがり海面水温が低くなる現象です。このラニーニャ現象が発生すると、冬型の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があります。

今はまだラニーニャ現象は発生していませんが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあり、インドネシア近海の海面水温が高く、加えてインド洋の東部でも海面水温が高いため、積乱雲の発生がより多くなる見込みです。この南で発生する積乱雲が遠く離れた日本に影響を及ぼします。

まず、積乱雲による上昇気流によって、インドネシアの北側にあたる大陸のシベリア高気圧の張り出しが強くなります。その結果上空の偏西風が中国付近で北に蛇行し、日本付近でやや南に蛇行するようになります。また、日本付近で偏西風が南に蛇行するとアリューシャン低気圧が西側で強まり、平年よりも日本の方へ位置がずれます。

その結果、シベリア高気圧とアリューシャン低気圧それぞれが日本に近づき、東日本・西日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置が強くなります。これにより全国的に気温が低くなり、日本海側で雨や雪が多く、太平洋側で少なくなる予想となりました。

また、偏西風は暖気と寒気の境目を吹きます。偏西風が南に蛇行すると、北から寒気が流れ込みやすくなるため、一時的に強い寒気の影響を受ける時期がある見込みです。この冬はいつも以上に雪や低温に注意が必要な冬となりそうです。(気象予報士・東杜和)