そろそろ新生活に向けて引っ越しをする人も多い時期です。賃貸物件から退去する際、敷金が戻ってこないとトラブルになるケースがあります。そこで今回は敷金を巡る引っ越しの際の注意点について、四季法律事務所の森本明宏弁護士にお話を伺います。
そもそも、敷金とは何でしょうか。

森本弁護士
「敷金は保証金と呼ばれることもありますか、家賃を滞納した場合や不注意で部屋を壊してしまった場合などに備え、借りた人が前もって貸し主にお金を預けておくというものです。ですから、家賃を滞納せず、不注意で部屋を汚したり壊したりしなければ、退去時に敷金は原則すべて返還されます」
しかし、敷金が返金されないというトラブルは退去時の修繕費を巡るケースが多くあります。

そのキーワードが「原状回復」です。原状回復というのは部屋を借りた人が退去する時に部屋を元の状態に戻すというものです。
森本弁護士
「ただ、傷や汚れが入居時からあったものなのか、その発生の時期やどういった経緯でできたものかはっきりしないことが多いことから、トラブルになっているんです」

貸した側と借りた側どちらの負担か迷いがちな例です。
・畳やふすまの張り替え
・ハウスクリーニング
・壁や床の傷の修理 の3つです。
このケースは上の2つが貸した側の負担ですが、壁や床の傷は不注意であれば借りた側の負担となっています。

森本弁護士
「基本的な考え方として、通常の日常生活や経年劣化によってできた傷や汚れの修繕は原則貸した側の負担になります。しかし、例えば掃除を怠って除去できないようなカビを発生させたり、飲みこぼしや結露を放置して部屋にシミなどを発生させた場合など、不注意によるものは借りた側が負担しなくてはなりません」
こうした点を踏まえ、トラブルを避ける方法は何があるんでしょうか。

森本弁護士
「主に2つのポイントがあると思います。1つ目が入居する時も退去する時も貸す側に同席してもらい傷や汚れを確認し、場合によっては写真をとっておくと有効です。2つ目は借りる際に契約書をしっかり確認すること、特に退去時の原状回復はどうなっているかなどしっかり確認しておいた方がいいですね」
ちなみに国土交通省が原状回復に関するトラブルを防ぐためのチェックシートを作っています。部屋のどの部分を確認しておけばいいかなどが書かれています。国交省のホームページにガイドラインが公開されていますので、ご参考にしてみてください。