「海の見える教室で、きょうは何をするか教えてください」
(ミエールに通う子ども)
「折り紙でリボンとか折る」
「きょうは手芸をしたい」

子どもたちが自ら学びを決める新しい学校の形。
それを愛媛県松山市で実践しているのが、髙橋伸一さん(54)です。
神奈川県で小学校の教壇に立っていた髙橋さんは、松山市の「地域おこし協力隊」に転身。
2026年3月に任期を終えた後も松山に残り、理想の教育を追求しています。

■「掃除当番をなくした」熱血教師の葛藤
北海道生まれの髙橋さんは、東京の大学を卒業後、神奈川県の川崎市と相模原市で小学校の教壇に立っていました。
心がけていたのは「子ども第一」。
学級崩壊したクラスの担任を任されることが多かったといい、掃除当番を無くしたこともありました。
(髙橋さん)
「“俺らは自由がいいんだ”と子どもたちが言った。“自由って何”と聞いたら“好きな時に遊ぶことだ”と言った。本当にそうかなと思ったが、“じゃあ君たちの自由を見せてください”と言ったときに、掃除をしない選択をした」

髙橋さんは反論せず、自ら黙々と教室を磨き続けました。
「僕は教室をピカピカにしたいからそうしたんだ」
その背中を見た子どもたちは次第に、それぞれがきれいにしたい場所を掃除し始めたといいます。
そうして理想の教育を追求する中、新型コロナの感染拡大が影を落とします。
(髙橋さん)
「コロナ禍では、やろうとしていたかかわりのある教室づくりが全くできなくなった。歌うな、話すな、近づくな」
転機となったのは2022年の夏、愛媛への家族旅行でした。
旅先で子どもが高熱を出してしまったのです。
当時はコロナ禍の真っ只中…
周囲の目が気になり、大きな不安に襲われました。
(髙橋さん)
「“学校の先生なのに、コロナを東京から持ってきたと言われたらどうしよう”と話をしたときに、“教員の前に父親だよね”と夫婦で話した。一旦、背負っていたものをおろして、“ゼロから再出発しよう”と」









