■「すべてが泥まみれ」すべてを呑み込んだ茶色い濁流
2018年7月7日。
野村ダムが、流れ込んでくる水とほぼ同量を放流する「緊急放流」を行った後、下流の肱川が氾濫。
濁流が野村の町を襲いました。

野村ダムが西予市に「緊急放流を行う」と伝えたのは、当日の午前2時半。
放流開始の予定時刻は、午前6時50分頃とされていました。
一方、市が野村町に避難指示を出したのは午前5時10分。
防災行政無線で住民に呼びかけました。

(避難指示)
「肱川が氾濫する恐れのある水位に達しましたので、野村地区に避難指示を
発令しました。ただちに避難を開始してください」
■ 避難指示はわずか「1時間10分前」…届かなかった情報
緊急放流は予定より早く、午前6時20分に始まったため、避難指示が出されてからの時間は、わずか1時間10分でした。
西予市は、“夜間の避難は危険を伴う”などと判断し、夜明けを待ったと説明しています。
防災行政無線での呼び掛けに加えて、消防も約100人体制で900軒余りの家を訪問し避難を促したといいます。
しかし、林さんのもとに避難指示の情報は届きませんでした。
(林さん)
「全然聞こえんかって。結局、息子に起こされて様子を見たんで」
「消防団に文句を言うつもりはないけど、私自身は聞こえませんでした。“聞こえ
んかった人も結構おります”と、この事実はどう考えるんですかということですよ
ね」

自宅の2階で寝ていた林さん。
息子に起こされた時には階段まで水が来ていて、屋根伝いに脱出して命からがら避難できました。

(林さん)
「役場の方に向かって歩きよったら、4メートルぐらい道幅がすごい濁流じゃって、その間も泳ぐしかなかった。いくら雨が降っても、今まで一切、災害がなかったんで、まさかダムの放流であそこまでになるとは…あの災害が起きるまでは、ひとかけらも思ってなかった」
家族の思い出が詰まった林さんの自宅は無残な姿となり、泣く泣く解体を余儀なくされました。








