愛媛県新居浜市の保育園で、当時生後8か月だった男の子が給食のリンゴを喉に詰まらせ、意識不明となった事故から2年が経ちましたが、今も男の子の意識は戻っておらず、24時間体制で看護が続けられている状況です。

事故はなぜ起こったのか――

事故が起こった原因、そして子どもの命を預かる保育の現場を取材しました【前編・後編のうち後編】。

ガイドラインは守られず…保育園の不十分な対応が招いた悲劇は教訓に

なぜ康至くんは保育園での給食中に生のリンゴをのどにつまらせたのでしょうか?

新居浜市の検証委員会が´24年3月に公表した報告書の中で、事故の発生原因について「離乳食の園児には加熱したものを提供」とする国のガイドラインを守っていなかったことなど、職員の認識に加え、情報共有も不足していたことを挙げています。

新居浜市の検証委員会による調査報告書

また、救急車を呼ぶ際の連絡内容が不十分だったり、リンゴを取り除くための胸骨圧迫を行わなかったりと、事故後の対応にも問題があったと指摘しています。

そのうえで、再発防止のための訓練の継続や保護者との確実な情報共有、子どもの状態に合わせた離乳食の提供などを提言しています。

検証委員会の委員長を務めた松山東雲短期大学の岡田恵准教授は、事故の教訓はそれぞれの現場で生かされていると話します。

検証委員会委員長・岡田恵准教授

松山東雲短期大学・岡田恵准教授
「食事の提供の仕方や、子どものリズムに合わせて(食事を与える)という配慮や対応方法ついては、各園でとても工夫がされていると思う。愛媛県内の保育施設はすべての園が加熱して離乳食でリンゴを使うように再認識されて取り組んでいると思う」