愛媛県西予市の市立病院など、3つの施設の管理・運営が4月から民間委託されることになりました。住民を対象に説明会が開かれましたが、住民の不安は払しょくされないままです。

経営悪化、医師不足… 市立病院など3施設を民間委託に

西予市は、経営悪化や医師不足を理由に、2つの市立病院を含む3つの施設の管理・運営を、来年度から東京の公益社団法人に委託します。それに合わせて、二次救急を宇和町の市民病院に集約。野村病院の入院病床は廃止されるため、野村地区の住民説明会では、医療機能の低下に懸念の声が相次ぎました。

野村地区の住民
「もしもの時に救急隊がいけないということはないか」
市の担当者
「受け入れ態勢になかったら、今までもそうだと思うが近隣の病院に搬送することになるかもしれない」
住民
「医師、看護師、患者に何も言わずに市長さんひとりで勝手にこれを進めたでしょう。一言でもこういうふうにやりたいと思うがどうですか?という話をしてくれたらこんなにはもめなかった」

西予市立病院などを守る会 河野修三会長
「指定管理にいけば職員不足は解消できると言われていたはずなのが、指定管理を言い出したばかりに職員が減っていっている」

夫が重度身障者 介護を続ける女性の不安

出席者の1人で、城川町で暮らす河野さん(69)も大きな不安を抱えています。

夫を介護する河野さん

河野さん
「主人が重度身障者で自宅で介護しています。なかなか説明会には出られませんでした。今までの医療が継続できるとか、タクシーの補助が出るとか良いことばかり書いてありますが、いざ4月から始まってぶち当たってみたら『えー』みたいなことがあり得るのかなと思って」

河野さんの夫は3年前、69歳の時に発症した脳出血の後遺症で左半身が動かず、自力で歩くことはできません。この日は、野村病院から理学療法士が訪れリハビリに取り組んでいました。

河野さんの夫
「元に戻りたい」

平日の5日間のうち4日は、野村病院からの訪問リハビリやその隣にある施設のデイサービスを利用しています。野村病院と施設のサービスが日常になっているからこそ、春からの生活に心配が募ります。

河野さん
「野村病院関係の介護保険サービスを全部使わせていただいて、連携をうまいこと持っていってもらってますので、お父さんの体のこと1番で安心してお任せしてやっております。元の介護保険サービスは使えますよ、みたいなことは資料にあったけど、でもどういう形に変わるかははっきりは書いていない」

自宅から野村病院までは車で約20分。今後、体調が急変した場合、40分ほどかかる宇和の市民病院まで行かなくてはいけません。

河野さん
「少々のお父さんの体調の変化があっても、もう家でやり過ごすかとか、そういうことも考えたりします。今の医療の状態、医療を受けるその質を今より落とさないように、本当にできるかどうか、落とさないでほしいと思います」

一方、訪問リハビリは民間委託後も野村病院に残るということですが、説明会で具体的な体制は示されませんでした。

河野さん
「みなさんが思っていること、それをどういうふうに市や地域医療振興協会が捉えたのかなと思うので、考えさせられます」

住民の不安が払しょくされないまま、春から民間委託へ。西予市では、住民説明会で寄せられた意見について検討すると話しています。