人手不足に苦しむ介護の現場。デジタル化などによって大幅な業務効率化を実現した愛媛県松山市の高齢者施設を取材しました。
松山市空港通にある高齢者施設「ミネルワ」。およそ100人が利用しています。
導入されたベッドは、上半身に加えて、下半身の角度や高さもリモコンで調整可能です。
これまではと言うと…
ミネルワ 生産性向上統括リーダー 安藤あゆみさん
「これまでは高さ調節ができないので、私たちは利用者に合わせた体勢をつくらないといけないということで腰への負担が膨大で、みんなコルセットを巻いて私も鎮痛剤を飲みながら」
それが、利用者・職員、双方の負担が軽くなったといいます。
安藤あゆみさん
「足を少し挙上(高い位置に上げる)できるので、姿勢が崩れにくい状況になった。高さの調整ができるようになったので、利用者に合わせた高さ、寝たきりの利用者に対しては、職員がかがまなくてもいい状況をつくりだせるようになった」
自力で起き上がるなど、利用者ができることも増えたそうです。
また、マットの下に設置したセンサーで、およそ100人の利用者の状況をモニターでチェックしています。
安藤あゆみさん
「全居室を巡回しなくてもいいというのと、利用者がどういう状況にいるのかモニターでわかるようになったので、職員の心理的な負担も軽減した」
一方、利用者にとっても見回りの物音などが無くなり睡眠を妨げられなくなりました。
そして、介護や看護の書類をデータ化し一元管理することで、年間およそ6万7000枚使用していた紙を1万8000枚に、1万8000時間を費やしていた書類の作成時間も6700時間にまで削減。
こうした取り組みは、今年度、介護労働安定センター愛媛支部の推薦を受け、全国47都道府県の中で最優秀賞に次ぐ6つの優秀賞の1つに選ばれました。
安藤あゆみさん
「人材不足が大きな課題となっている。個別ケアにしっかり力を入れてできた時間をそこに費やすことで、利用者の満足度、施設も楽しいなって思っていただけるような環境づくりに努めたい」
ミネルワでは、業務効率化で生み出した時間で、ケアの充実を図りたいと話していました。