◇◇紫電改生んだ「川西航空機」の"子孫" 45年ぶりの調査

担当したのは、かつて紫電改を製造した「川西航空機」を源流に持つ「新明和工業」。
世界屈指の大型飛行艇「US-2」を製造するなど、現在も、航空機開発を手掛けているメーカーだ。

7月上旬に行われた調査の様子は、一部が報道陣に公開され、作業に携わっている技術者のひとり、新明和工業航空機事業部・飛行艇技術部の郷田雄志課長から、詳しい作業内容などを聞くことができた。

新明和工業 航空機事業部 飛行艇技術部 郷田雄志課長

「今回、中の状態を確認させてもらって、情報を持ち帰って、我々の方で検討させてもらって、どこにどういう補強を当てたらいいかという計画を立てて、再度、2024年度から2025年度にかけて、補修工事をさせてもらう。さらに、2026年度、新しい展示館の方に移設するというのが、計画の大きな流れになっている。その第一段として、調査をさせてもらっている」

本格的な機体の調査が行われるのは、海底から引き上げられて以降、今回が初めてということだ。

「作業ですが、全部の外板を外すわけではありません。この(図面に)斜線の引かれている外板を全部外すわけではなく、主要な構造材ですね、専門用語では『ロンジロン(強力縦通材)』というような言い方をするんですけども、大きな『骨』が、だいたい四隅にですね、胴体の縦に走っている。主翼の方は、前と後ろの方に桁が、主桁と補助桁が2本走っています」

◇◇骨組み、そしてエンジン 既に図面は無く

「ざっくり言うと、その『ロンジロン』と呼ばれる胴体を縦に走っている柱4本と、主翼の桁ですね2本、それとそこの結合部、それから尾翼の同じく桁回り、それから尾輪ですね、それが荷重を受られるか。それぞれの接合部分、胴部の状況を確認する」

機体が引き上げられた1978年に描かれたという図面を指し示しながら、郷田氏が説明する。
川西航空機時代に作られた図面は、戦後、米軍の指示により、全て破棄したのだという。

「それからエンジンがここに、そのまま当時のまま残っています」