石川啄木の初めて詩集「あこがれ」が発刊されて2025年で120年になります。
「あこがれ」刊行後も、自らの詩や詩作について悩み、模索しつづけた石川啄木の世界に迫る企画展が盛岡市で行われています。

会場である盛岡市の石川啄木記念館には、詩集「あこがれ」を中心に、石川啄木の作品背景や時代背景を紹介する資料およそ50点が並んでいます。
「あこがれ」が刊行されたのは明治38年5月。
啄木はまだ19歳でした。
「あこがれ」には序詩の「沈める鐘」や、自らのペンネーム(の一部)でもある「啄木鳥」という詩など77編の作品が収録されています。
中でも「あゆみ」という詩は、難解なことばを使わず、人生の終わりなき歩みや時間の流れを表現しており、後の「一握の砂」の作風に通じるものを感じさせます。

そして会場には「あこがれ」以後の啄木の生活や考え方の変化についての展示もあります。
「浪漫派詩人」としてスタートした啄木でしたが、この頃の日本には「自然主義」が台頭し始め、啄木は詩人として様々な表現方法を試みるようになります。

そして「両足を地面に喰つ付けてゐて歌ふ詩」「実人生と何等間隔なき心持を以て歌ふ詩」、つまり自分や読者の生活に即した詩をを目指すようになります。
このことについて、石川啄木記念館の鳥取邦美主任学芸員は「啄木は生涯、表現を模索し続けた人だったのだと思います。啄木がどのような思いで作品作りをしていたかを感じて欲しいです」と話していました。

この企画展は2026年2月1日(日)まで行われています。







