(大船渡温泉 志田繕隆支配人)
「当館の社長はワカメとホタテの養殖もする漁師でもあります。ワカメは海藻スナックとワカメの茶碗蒸しといろんなところに出てきます。大船渡温泉は『ワカメ推し』ですね」

鮮度が高い理由は志田繕隆支配人の兄で、大船渡温泉の志田豊繁社長がワカメやホタテの養殖に取り組む漁師だからです。

豊繁社長は3月中旬から始まるワカメの収穫に備え、この時期は間引き作業に精を出しています。
海が穏やかだったこの日は末崎町の養殖漁家20隻以上が沖に船を出していました。

「まだまだ今からでしょ」
「おう、アンタ終わったの?」
「せーの、よしっと」

養殖用のロープを引き上げると30センチから40センチに育ったワカメが姿を表しました。
そしてハサミを使ってまだ細いものをどんどん刈り取っていきます。

(大船渡温泉 志田豊繁社長)
「肉厚になるのさ、間引きするから。(肉厚にするために?)うん、生育を良くして肉厚にするんだ。肉厚でさらに柔らかいんだ」

よりおいしいワカメを生産するため、末崎町の養殖漁家たちは間引き作業に力を入れています。

また、養殖ワカメの発祥の地とされるのがここ末崎町なんです。


町の一角に建立された石碑には「わかめ養殖発祥の地」の文字と漁業者の所得向上を目指してワカメ養殖に挑戦した経緯などが記されています。

(大船渡温泉 志田豊繁社長)
「はい、持ってきたよ~」

陸に戻った豊繁社長は間引いたばかりのワカメを宿に持っていきます。
これが「早採りワカメ」です。

鮮度が落ちるのが早いため、産地以外での流通が少なく、この時期限定の早採りワカメ。「緑色」が美しいこの時期ならでは旬の食材を味わいに沿岸に足を運んでみてはいかがでしょうか。