裁判における最大の争点

裁判の大きな争点は、桂田被告の注意義務の前提となる「予見可能性」の有無です。

具体的には、事故当日にウトロ漁港を出航した「KAZU I(カズワン)」の運航予定航路と、それに対する桂田被告の認識が焦点となりました。

弁護側は「事故当日の詳細な航路は把握しておらず、急激な気象悪化による事故は予測できなかった」と主張しました。

しかし、裁判所は、検察側の主張と関係者の証言やLINEグループの投稿などから、当日の運航が「知床岬コース」であることが社内で共有されていたと認められると認定。

気象・海象の予報当日朝の時点で、最大風速毎秒15m、波高2mないし2.5mに達するという強風・波浪注意報が出されており、これは同社の運航基準(風速8m、波高1m以上で運航中止)を大幅に超えるものでした。

裁判所は、これらのことから「荒天による高波や強風で安全な航行に支障をきたし、乗員乗客が死亡する事故が発生することは十分に予見可能であった」と指摘し、出航前、あるいは出航後であっても、直ちに運航を中止を指示すべき義務を怠った過失を認めました。