ちかさんは、「同性婚の方が違和感なく生活できたかもしれないけど、戸籍を変えなくちゃいけない。そうすると(きみちゃんは性別適合手術を受けなくてはいけないので)2人で望んでいた子どもをもてない。それは2人にとって難しかった」と答えました。
きみちゃんも、結婚や子育てをめぐる社会保障に差があるのであれば、同性婚を本当に選択するか否か、「考えなきゃいけなかった」と答えました。
同性どうしの結婚が認められたとしても、自分たちと子どもの戸籍の問題や社会保障の差が残るのであれば、現実は厳しい・・・。
自分たちらしく、つまり同性の「ふうふ」として生きていくには、高すぎるハードルを感じています。
僕らに宿った、新しい命

妊娠がわかったのは、結婚してから3か月後。2人は、病院で撮ったばかりのエコー写真を見せてくれました。
ちかさんは「自分は率直に喜んだ。楽しみです」と話していましたが、2人の表情は緩むことがなく、特にきみちゃんは、少しだけかたいように感じました。

きみちゃんは過去にホルモン治療を受けていたため、子どもを授かるにはまだ時間がかかえると考えていました。そのため、想定していたよりも早く妊娠したことに、「正直、戸惑った」と話しています。
「自分自身が世間の目で苦しんでいるから、この子も正直、苦労する可能性が高い」。伏し目がちに話すきみちゃんのことばを、ちかさんはうなずきながら聴いていました。