産卵のため、川を遡上しようとするサケを狙った違法な行為が後を絶ちません。摘発が相次ぐ、釣りの禁止エリアで、その実態を探りました。

《産卵期のサケを狙って禁漁エリアで違反横行》

海上保安官
「室蘭海上保安部だ、動くな!何してた?」
密漁者
「サケ、釣っていました」
海上保安官
「ダメでしょ!」
密漁者
「分かりました」

海上保安官
「何でダメことをやってるの?」
密漁者
「スミマセンでした」
海上保安官
「密漁したサケは、これとこれね」

 暗闇に紛れ、禁止エリアで、サケを釣っていた人物。2022年10月、サケを密漁していた人物が、北海道の室蘭海上保安部によって摘発された。特殊な針を魚体に引っ掛ける、禁じられた釣り具も使用していた。

そして、摘発が相次ぐサケ釣りの禁止エリアで、私たちの取材カメラが捉えた人影。マナーなきサケ釣りの現場を追った。

《釣りファン待望!秋サケのシーズンが到来…だが》

 太平洋に面した北海道、白老町の海岸。9月から11月にかけては、釣りファン待望の秋サケのシーズンだ。多くの釣り人たちが、早朝から釣りざおを構える。

(Q.今朝は何時から?)釣り人「あさ4時かな…」

引きの強さと、この上ない秋の味覚。なかなか大物のサケが、釣り上がっていた。

イエローグローブ白老店 金子真也店長
「去年とおととしは、かなり釣果が悪かったが、今年は大きい群れが来ていて、皆さん、釣りを楽しんでいる」


 産卵を前に、河口から遡上するサケの群れ。北海道の貴重な漁業資源だ。その資源を守るため、厳格なルールがある。

荒木颯太記者
「白老町を流れる敷生川です。川の中とその河口付近では、サケマスをとることが一定の期間禁止されています」


全国の川では、特別な許可がない限り、サケやマスを釣ることは一切禁止だ。北海道内では一定期間、河口付近にも禁止エリアが設けられ、その数は100か所以上に及ぶ。

白老町を流れる敷生川では、河口をはさみ、海岸の左右と沖500メートルが禁止エリアになっている。

《禁漁エリアで秋サケを狙う悪質な釣り人が…》

 室蘭海上保安本部では、毎年、管内のパトロールを強化。白老町や登別市の河口周辺で、これまでも摘発が相次いできた。過去の摘発現場では、密漁者からこんな言葉も…。


海上保安官
「差し押さえ物品ね。釣りざお一式とね、これ、針一つ」
密漁者
「誰も教えてくんねぇだもの…」
海上保安官
「禁止エリアと分かっていて、こんな河口付近で釣っていて、知らなかったはないでしょ?」

最近のサケ密漁の状況について、取り締まる側はどうみているのか。

室蘭海上保安部 田中公一次長
「サケ密漁の検挙者は、最近は高止まりしてるような状況。魚価自体も上がってはいるので、そういうのも影響してるのかなとは思っている。(サケの密漁者の狙いは)最近は魚卵ですよね、卵をとる。レジャー気分でやる人もいる」


 太平洋沿いの道を移動中、取材カメラが、登別市の河口付近で釣り人の姿を見つけた。サケの群れが遡上する登別川の河口。ここも禁止エリアだが、違反者が絶えず、釣りファンへの信頼を損なう行為が繰り返されている。

許された条件の中で、サケ釣りを楽しむ人たちは、違反者への怒りをにじませる。

釣り人
「ルールがあるなら守ってもらいたい」
「ルールを守っているコチラからしたら、おもしろくないですよね。違反者は捕まったらいい」