魚介類などを炭火で焼く「炉端焼き」。道東の釧路で、地元発祥の食文化を通じてマチを盛り上げようと、体験ツアーが開かれました。

 炭火で、じっくりと焼かれた新鮮な魚介類。釧路名物「炉端焼き」です。落ち着いた雰囲気の中で楽しむ旬の味覚に、会話も弾みます。

 3日、「炉端」発祥の地、釧路で開かれた体験ツアーの様子です。

 体験ツアー参加者
 「隣に座った人と、いろんな話で盛り上がれるのはいい」
 「初めて炉端に来たんですけど、こんなに炉が近くて、驚きました。とてもおいしいです」

 体験ツアーは、地元の食文化を発信してマチを盛り上げようと、市内の炉端店でつくる「釧路炉ばた学会」が観光庁の補助金を活用して企画しました。

 この日は、観光や飲食業に関わるおよそ20人が参加し、炉端の歴史なども学びました。

 釧路炉ばた学会 後藤公貴会長
 「炉端焼きの文化は釧路が発祥であるということ、そして飲食業を営む店主たちがそれを誇りに思って、マチを何とか炉端焼きという文化で盛り上げていきたいという思いが(ツアー開催の)いちばんの理由」

 釧路の「炉端」は、宮城県仙台市で野菜を炭火焼きで提供していたのをみて、釧路ならではの海産物を代用したのが始まりとされています。

 1955年ごろから広まり、最盛期の70年代には、釧路市内で170軒ほどが営業していました。

 しかし、基幹産業の衰退による人口の減少などから、現在は50軒以下まで減っているといいます。

 今年6月に発足した「釧路炉ばた学会」は、炉端文化を広めるため、地元出身の絵本作家に依頼し、炉端をテーマにした絵本を制作したほか、自宅で簡単に炭火焼きの味が楽しめる冷凍食品も開発。

 ツアーの参加者に配付するほか来月以降、インターネット販売も開始する予定です。

 釧路炉ばた学会 後藤公貴会長
 「釧路発祥ということを知らない全国、また世界の方がたくさんいると思うので、積極的にPRしていくことで、豊富な食材を誇っている町ですから、訪れるきっかけとなっていただければと考えている」

 港町・釧路に根付く「炉端焼き」。食文化を守り、観光資源としての魅力を再発見する取り組みが始まっています。


12月5日(月)「今日ドキッ!」5時台放送