■専門家「シフトを減らされる可能性も」
労働経済に詳しい北海道大学大学院の安部由起子教授は、働き控えだけでなく、現場の機械化・効率化も進み、結果的に労働者の収入ダウンにつながるのではと危惧しています。
北大大学院経済学研究員 安部由起子教授
「実質賃金が下がっている、つまり物価高が勝っているということ。これはどう見たって(経済の)好循環じゃない。(最低賃金の)引き上げ率が高かったので失業率の上昇まではいかないと思うが、例えば(労働者が)シフトを減らされたというようなことは出てくる可能性はある」
■どの立場で考えるかで「うれしい」「苦しい」
森田絹子キャスター)
道内の最低賃金が4日から、現在の1010円から65円アップして1075円に引き上げられます。労働者側にとっては喜ばしいことですが、懸念もあります。
中小企業にとっては、賃上げが経営の圧迫につながり、「働き控え」による人手不足も深刻です。
また、扶養の中で働くパート従業員の立場では「年収130万円の壁」があり、最低賃金が上がっても、トータルの年収はアップにつながらないケースがあります。
堀啓知キャスター)
中小企業への支援策として、厚生労働省の業務改善支援金というものがあります。
森田キャスター)
賃上げを行い、かつ生産性を上げる設備などを導入した中小企業を対象に、最大600万円を助成するものです。
北海道労働局によりますと、年々申請は増えていて、昨年度、道内では1030件の申請がありました。
設備導入の具体的なものとしては、売り上げや在庫管理の効率化ができる「POSレジ」システムの導入や顧客管理情報のシステム化、除雪機の購入も対象になるそうです。
いま受け付けているのは「第2期」ですが申請は3日までだということです。
福島和可菜さん)
どの立場にたって考えるかで、考え方が変わってくると思うんですが…パートの立場だったら「時給上がるんだ、うれしい」と思いますけど、経営者の立場に立つと「苦しいな」という部分もあるじゃないですか。
人によって違うのが難しいですし、いくら最低賃金が上がったからと言って年収が上がらないという。
これはどうなのかなと正直思いますし、一方で物価高も続いていくので、いい例ないのかなと思いますけど。
海外は国によっていい循環で、という話をよく聞くので…
アンヌ遙香さん)
あまりにも今の日本の現状が、個人の我慢などに頼りすぎている事が多くないですか?と思うんですよね。
近々自民党の総裁選もありますが、これだけ、日本国民に苦しいと言っている人が多いのをどれだけ把握してくれているのか、という感情がわいてきますよね。
個人が我慢すれば、まわるという仕組み自体を変えていかなきゃ、日本の未来はないなと思います。
堀キャスター)
政府は2020年代までには、最低賃金1500円を掲げているということですけれど、実現可能なのか、現代にあった仕組みなのか、トータルで含めてスピード感を持って取り組んでもらいたいなと思います。