■「なぜ子グマを殺した」自治体に相次ぐ苦情

 死亡事故を受けて、斜里町役場には150件を超える意見が、メールや電話などで全国から寄せられています。

意見の内容は、批判や抗議が約3割、駆除を肯定する内容が3割、残りの4割が町や知床財団への管理体制に関する意見や批判、登山者や観光客のモラルを問う意見だったということです。

《寄せられた意見の一部》
「なぜ子グマを殺した」
「世界自然遺産の登録を返還しろ」
「捜索は税金の無駄遣い」
「知床が好きなので、対策頑張ってください」

斜里町・増田泰副町長

斜里町の増田泰副町長は、「斜里町はヒグマが高密度に生息する場所ですが、一般の方がヒグマに襲われて死亡した事故は記録にありません。そういった意味で今回の事故は、町民も含めて非常に大きなショックを受けています」とコメントしています。

また、現場となった「羅臼岳」という名前から、斜里町の隣の羅臼町にも意見が寄せられています。

メールや電話などが約15件来ていて、半分ほどは「かわいそう」などと言った内容だということです。

道外からの意見が多く、電話でいきなり泣き出した人もいたといいます。

斜里町と羅臼町では、1人の電話対応に1時間以上要したケースもあり、業務に支障が出ていて、「人を襲ったクマを駆除することを理解してほしい」と話しています。

人間と野生動物、双方の命を守る取り組みはどうあるべきか。課題は横たわったままです。

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